真夏の楮畑川と開拓団の村

菊池市立門(たてかど)から県道25号線(原立門線)に入り、10分ほど車を走らせると、杉生(すぎお)集落との分岐点である。ここまで来て、ようやく右下に楮畑(かごはた)川の流れが見えた。
林を抜けて川岸まで下りると、水面にはまだ陽光は差し込んでいない。渓谷を包む樹林帯は前日の雨でしっとりと濡れたままである。浅瀬に立ち込み、水流に足をとられないよう踏ん張ってみた。8月初旬にもかかわらず水温は意外と低い。

朝もやの中の楮畑川

楮畑川上流には、杉生、楮畑の2地区がある。いずれも、開拓事業で誕生した集落である。楮畑川流域では、戦後、開拓団の入植によって農地が新たに開発され、人口増がもたらされた。
楮畑川下流の立門地区においては、開拓事業の拡大とベビーブームによって昭和30年代に児童数が急増し、地元の水源北小学校では生徒数が400名を超える。だが、ベビーブームが去り、開拓団の離村も重なった昭和40年代には100名台へ減少。さらに、昭和46年には水源北小学校杉生分校が廃校となる。
楮畑川を遡上すると、川岸にオオキツネノカミソリの花が点々と現れ、その奥で階段状の小滝に阻まれた。小滝の脇を伝って県道まで這い上がると、すでに真夏の太陽が真上まで昇っていた。

楮畑川源流に咲くオオキツネノカミソリ

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