小川川と鍋割の地付きヤマメ

小川川は、鞍岡(宮崎県五ヶ瀬町)の南側で五ヶ瀬川と合流する。谷沿いの小川集落は、小川岳(標高1542m)の稜線を越える「小川緑川越」によって、赤木集落(熊本県山都町)と人・モノの往来があった。
「10年ほど前までは、小川川には放流ものでない天然ヤマメがいた」。探し求めていた五ヶ瀬川の地付きヤマメの消息を、小川集落(宮崎県五ヶ瀬町)で聞くことができた。
小川集落のシタイケ乾燥室を抜けると小さな畑があり、その横が小川川である。「毎年今ごろになると、浅瀬でヤマメが産卵する」と乾燥小屋の持ち主が教えてくれた。見ると、幅5mほどの流れに、細かい砂利のたまった浅瀬がある。

小川川の流れ

鞍岡から椎葉村方面に国道を上り、小川集落への町道に入ると、谷沿いに棚田が続く。陽当たりのよい斜面には、ミゾソバやヨメナ、アキノキリンソウが咲き始めている。「新小川橋」を渡ったあたりから谷が狭くなる。橋のたもとの左岸沿いに、未舗装の旧道が残っている。
地元では、旧道に架かる橋のあたりを『鍋割』と呼ぶ。鍋割橋の上流から川水を分流して鞍岡の小切畑まで送っている。ヤマメが棲むのはさらに上流になる。
鍋割橋から小川川の岸辺に下ると、左岸沿いに古い用水路がある。浅い部分を選んで対岸に渡ったが、水深は膝ほどである。だが、小川川の流れは、凍えるほどの冷たさであった。

陽当たりの良い斜面にヨメナが群落をつくっていた

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