白髪岳源流西平川と皆越分校

訪れたかった場所がある。閉校となった上小学校皆越(みなごえ)分校(球磨郡あさぎり町)と白髪岳(標高1417m)を源流とする西平川である。
皆越は相良氏初代藤原(相良)長頼(1177~1254)が遠江国(とおとうみのくに)相良荘(現在の静岡県西部)から人吉に下向した際、長頼とともに安倍氏一族が移住定着した土地とされる。江戸期から明治28年までは皆越村、明治28年からは旧上村、そして平成15年には中球磨5町村の合併によって、あさぎり町皆越となった。
目的地の皆越分校は、明治17年に上村脇小学校分校として開校、昭和2年皆越尋常小学校、昭和22年上村立皆越小学校、昭和57年上村小学校皆越分校へと名称が変わる。そして、児童数減少のため平成23年3月に閉校する。

白髪岳の麓に残る皆越分校

清願寺ダム横の町道を登り詰めると、急に視界が広がる。白髪岳北面のゆるやかな傾斜地に皆越地区がある。分校は集落の中心地に近いところにあり、跡地はよく手入れされていた。運動場に立つと、薄雲のかかった白髪岳はすぐ目の前である。
皆越への町道から西平川沿いの林道に入るとヤマメの養魚場があり、立ち話をした。「西平川にはヤマメが放流されている。ヤマメ釣りが結構来る」という。養魚場のヤマメを見せてもらうと、体の側面に「木の葉・小判状」の斑紋模様(パーマーク)がはっきりとある。
西平川源流域にはあさぎり町の町有林が広がり、作業林道が白髪岳中腹へ向かって延びている。渓谷は照葉樹林が覆い、小さな渕が点々と現れる。水温は意外と低く、短い谷の割には水量が多い。林道の奥ではヒノキの植林地があり、抜けるとすぐに薄暗い森となる。そこにたった一本、真っ白な花をびっしりとつけた低木があった。近づくとハイノキの花が満開となっていた。

白髪岳を源流とする西平川

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