30年ぶりに再訪した壮絶の木浦谷

久しぶり訪れた木浦谷は、昔の面影が残っていた。木浦谷は、耳川支流の十根川(宮崎県椎葉村)の源流である。
30年前、木浦谷に入渓したのは、木浦谷の支流そごう谷を遡行して扇山(標高1661m)山頂をめざすためである。前夜、木浦橋のたもとにテントを張り、翌朝夜明けとともにそごう谷を登った。メンバーは4人。なるべく荷物を軽くするために、食料と寝袋だけを背負った。木浦谷本流ではなく、支流沢のそごう谷を遡行したのは、本流中段に険悪な大滝があると聞いていたからである。

木浦谷でヤマメを探ってみた

そごう谷には、高巻きするような悪所はなかったが、小滝が次々と現れ、滝の乗り越えでへとへとになった。結果的には、10時間ほどかけて霧立越(きりたちごえ)の主稜線に這い上がった。目的地の扇山小屋までは、さらにスズタケの茂った縦走路を1時間ほどヤブコギすることになった。
30年ぶりに木浦橋のたもとにやって来てみると、右岸の一部が伐採されている以外は、昔とさほど変わらぬ印象であった。沢沿いの斜面には、サイゴクミツバツツジが点在し、ヤマザクラも花期を迎えていた。足元では、コスミレが群落をつくっている。
木浦谷で知人が浅い淵をいくつか探ってみた。エサは、ミミズ、カワムシ、ヒラコ虫の3種をかわるがわる試した。流速のある淵ではアタリはみられないものの、木浦橋下の深目の淵では、どのエサでも頻繁にヤマメのアタリがあった。
そのうち、太陽が霧立越の稜線の上に顔をのぞかせ、山風が吹き始めた。空を見上げると、あたり一面を覆っていたイヌシデの新葉がかすかに風にそよいでいた。

木浦谷では3種のエサを試してみた

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