湯浦川源流の幻のヤマメ

湯浦川(芦北郡芦北町)でヤマメが釣れるという話を聞いた。中流の古石(ふるいし)地区でヤマメについて尋ねた。「ハエやナマズ、地元でハチフイと言っているひげのある黄色い川魚もいる。ここではヨシノボリのことをズイと呼ぶ。昔はズイをウナギ釣りのエサに使っていた」。河口に近い豊岡地区にはアユが上るとされているが、「アユを釣る人を見かけたことはない。テナガエビなら多い」。
上流の古道集落でもヤマメのことを聞いた。「昔の湯浦川にはウナギが多かった。家の前に大きな淵があってウナギボテで獲っていた。カワガニもよく食べた。カボチャのナカワタ(種のあるやわらかい部分)を石の間に置いておくとカワガニが集まってきた」。ヤマメについては「数年前まで釣竿を持って川の中を歩いている人を見かけたことがある」という。

照葉樹と落葉樹が混在する湯浦川中流域

最上流の石間伏(いしまぶし)集落まで登り、ようやくヤマメの消息をつかむことができた。「以前は地区の2軒でヤマメとマスを養魚していた。ヤマメは養魚場から逃げ出したものだろう。今でも釣れるはず」と教えられた。
石間伏の奥まで登り、細流となった湯浦川源流を確かめてみた。源流は古石国有林の暗い森からしたたるように流れ出している。国有林の入り口では、アオキが鈴なりの赤い実をつけていた。

湯浦川上流の流れ

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