汗の平谷とニガコベ谷のバイケイソウ

五家荘(八代市泉町)樅木(もみき)から、汗の平谷を遡行して上福根山(標高1645.4m)山頂を目指したものの、時間切れで撤退したのは30年以上も昔である。その時の記憶のほとんどは失われたが、鮮明に思い出す情景がある。バイケイソウの花が満開だったことである。
バイケイソウ(梅蕙草)は、ユリ科シュロソウ属の多年草。北海道・本州のほか、九州の山地・亜高山にも分布する。花はウメの花、葉はシンビジウム属の一種、蕙(ケイ)蘭に似ていることからこの名がついたとされる。涼やかな大葉も特徴的であるが、7月ごろ満開となる緑白色の花の印象は強烈である。
記憶を頼りに、小雨の降る汗の平谷に入渓した。砂防ダム脇から谷沿いの山道をたどると、砂利が堆積した河原となり、小さな堰で踏み跡が途絶えた。しばらく遡行したが、増水した渓流に危険を感じて早々と引き返した。

小雨のもとでやや増水した汗の平谷

バイケイソウと再会したのは、樅木からの帰路であった。樅木から椎葉村尾前につながる峰越林道を車で走ると、眼下のニガコベ谷につながる斜面にバイケイソウが点々と自生している。そのうちのいくつかには、緑白色の花が満開となっていた。
斜面を降りて、ようやく出会ったバイケイソウの花をしげしげと眺めると、下部の雄花が自重で垂れ下がり、すでに盛りを過ぎていた。

ニガコベ谷で見つけたバイケイソウの花

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