神原川メンノツラ谷とイワメの謎

ヤマメは、神奈川県箱根以北と北陸、中国山陰の日本海側河川、九州の太平洋側河川に分布するサクラマスの陸封型淡水魚である。アマゴは、箱根以西の本州太平洋側河川と瀬戸内海側河川に生息し、サツキマスの陸封型とされる。体側に小朱点があるのがアマゴ、ないのがヤマメと分類されている。
アマゴは、九州では瀬戸内海側に流れ込む大分県内の河川に生息するとされるが、イワメと呼ばれる謎の渓流魚の存在も知られている。
イワメの存在が最初に確認されたのは、大分県大野川水系神原(こうばる)川源流のメンノツラ谷である。地元では、メンノツラ谷最上流にアマゴに似るが、幼魚斑(パーマーク)や黒点・朱点がない渓流魚がいることが知られていた。

増水した神原川メンノツラ谷

イワメが、新種のサケ科魚類イワメとして正式に報告されたのは、昭和36年のこと。だが、その後の調査で、本州や四国の幾つかの河川でもイワメの生息が確認されている。現在、イワメはアマゴの劣性突然変異という説が有力となっている。
阿蘇郡高森町津留から県道8号線を北に向かい、大分県内の宇目小国広域林道に入ると、祖母山系緩木山の支尾根をいくつも横切る。しばらで豊姫橋。ここで神原川を右岸側に渡り、本流沿いに下ると神原集落でメンノツラ谷と出会う。メンノツラ谷沿いの舗装道路を遡り、白水(しろうず)橋を渡ると白水集落。ここから上流がイワメの生息域とされる。
棚田の間の農道を下りメンノツラ谷に降り立つと、2日前までの長雨の影響で増水していた。渓流に足を浸すと思いのほか冷たい。
メンノツラ谷からの帰り、高原の津留まで戻ると、道路沿いのあちこちにオタカラコウやヤマジノホトトギス、ハガクレツリフネソウの花が咲き始めていた。

高森町津留に戻ると道沿いにヤマジノホトトギスの花が咲いていた

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