追憶の内大臣川西内谷

内大臣林道から西内谷林道への急坂を登り始めると、当時の記憶が蘇ってくる。昔、何度となく歩いた西内谷林道は、今では荒れてしまい、落石が目立つようになった。
歩き始めて1時間、ようやく「わさび谷」に架かる西内谷第2号橋にたどり着いた。欄干のプレートには「昭和58年11月完成」とある。初めて西内谷林道を歩いたのは、第2号橋が架かる直前であったことから、西内谷に入渓するようになって、すでに35年ほども経過したことになる。

西内谷本流の流れ

第2号橋を渡り、西内谷本流へと向かうと、あの日の情景が次々と脳裏に浮んだ。西内谷林道は、トロッコ道(森林軌道内大臣林道西内谷支線、延長6674m)を拡張して設けられた。35年前は、まだレールや枕木、石垣など森林軌道の痕跡があった。
忘れられないのが、2つのトンネルである。一つは長さ30mほど。レールは撤去してあったが、トンネルそのものはトロッコ台車が行き来していた当時のままだった。もう一つは長さが10mほどだが、落石でかなり埋まっていた。西内谷源流域に向かうには、そのトンネル内の狭い空間を這って抜けなければならない。その後、林道の延伸工事のため、2つのトンネルは崩されてしまったが、忘れられない場所である。
西内谷第2号橋から30分ほど歩くと、西内谷第1号橋である。橋が架かるまで、右岸側の岩壁を下降して対岸へ渡っていた難所である。今、第2号橋のたもとには、森林軌道の石積みの橋台と錆びたレールが残っている。

森林軌道内大臣林道西内谷支線の橋台跡

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